ホアキン・フェニックスがアカデミー賞主演男優賞を受賞したサイコスリラー映画『ジョーカー』
コメディアンを目指すアーサーが周囲の心ない人々からの裏切りや自らに降りかかる不幸によって徐々に追い込まれていく物語。
この映画の一つのポイントとなっているのがアーサーのあの「笑い」ですよね。
なにかのキッカケで笑いたくもないのに大声で笑ってしまい、そのせいで周囲から冷たい視線を浴びてしまう・・。
アーサーの孤独をより深いものにしている原因の一つであるこの「笑い」。
アーサーは作中で自分の病気として説明文が書かれたカードまで持参しており、相手に理解してもらいたい時にこれを提示しているシーンもありました。
今回はその『ジョーカー』の主人公アーサーの「笑ってしまう病気」について
そして「笑い」や「笑顔」について個人的意見を書いてみたのでご紹介したいと思います。
ホアキン・フェニックス、『ジョーカー』の【笑い】の病気は本当にある?
のちに悪のカリスマ、ジョーカーとなるアーサー・フレックはカウンセリングを受けている最中や上司に叱られている時などその場に相応しくないタイミングで自らの意思と関係なく突然笑い出してしまいます。
実はこのような症状の病気は実際に存在します。
病名は情動調節障害:Pseudobulbar Affect、略してPBAと呼ばれています。
感情を司る脳の領域に障害があり、突然泣き出したり笑ったりしちゃう厄介な病気。
事故などが原因で発症することもあるそうです。
実際のこの病気の患者もホアキン・フェニックスの演技がとてもリアルだったと太鼓判を押すほどアーサーの症状は忠実に再現されていたようです。
映画の中でのアーサーは突然というよりは何かイヤなことがあったりしてストレスを感じるとこの「笑い」が出てしまっているように見えました。
実際の患者さんはどうかわかりませんがホアキン・フェニックスが演じたアーサーの笑い方は面白い時の笑いというよりは皮肉のこもったわざとらしいようなちょっと不気味な笑い方をしていたので、病気だと知らなければちょっと距離を置きたくなるのも仕方ないかなって感じでした。
もしこれがコワ〜イそっち系の方々の前で発症してしまったら映画のようにほんとにリンチをくらうかもしれません。
日本では人が引いて行ってしまうだけで済むかもしれませんがアメリカのちょっと治安の悪い場所だった場合、命の危険すらあるかも・・。
ホアキン・フェニックス『ジョーカー』、【笑顔】はどんな時でも人々を楽しませるわけではない
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コメディアンを目指していたアーサーは自分が介護する母に「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を胸にピエロの仕事を生き甲斐にしていました。
私もよく両親に「いつも笑顔でいなさい」と言われたものですが、人ってムシャクシャしている時や自分が幸せじゃない時にやたらと笑っている人を見るとついイラッとしてしまう醜い生き物だったりします。
結局、【笑い】や【笑顔】って投げかける相手の心理状態や状況のタイミングが大事ですよね。
それを間違えるともしかしたら人を怒らせてしまうスイッチにもなりえる実はコワいものだったりします。
ホアキン・フェニックス『ジョーカー』、ドラマ『相棒』で観た【笑顔】がもたらしたもの
日本での大人気長寿ドラマ『相棒』。右京さんと冠城亘のコンビでの『相棒17 』9話「刑事一人」の回で【笑顔】によって起こった殺人事件というのがありました。
サルウィン共和国から日本へやって来た外国人労働者の姉マリアと弟マニーは牛丼屋チェーン店で日々真面目に働いていました。
しかし、ある日弟のマニーが変死体で発見されます。
結局犯人は牛丼屋にお客として出入りしていた青年でした。
いいことがなく常にムシャクシャしていた青年はいつもニコニコしているマニーに逆に苛立ちを覚えます。
そして外で二人が偶然会った時、マニーは笑顔を返しますがその笑顔に今までのイライラが爆発。
青年はマニーを殺してしまうのです。
伊丹警部がそのことを姉のマリアに伝えるとマリアは「両親に、ツラいことがあってもいつも笑顔でいなさい、と言われていた」と言います。(セリフは正確じゃないかもしれません)
良かれと思って投げかけた笑顔がタイミングを間違えると人の殺意に火を付けることもある、
という事を教えてもらったなんだか恐くて切ない回だったのを覚えています。
ホアキン・フェニックス『ジョーカー』PBAを知ることの大切さ
【笑い】のタイミングがいかに大事かを『相棒』でお伝えしましたが、ホアキン・フェニックス『ジョーカー』のアーサーはこれとはまた状況が違います。
彼の【笑い】は病気なのでタイミングを選ぶことなどできません。そして自分の症状をどうすることもできません。
アーサーは薬を何種類も飲んでいましたが【笑い】の症状は抑えられていませんでしたよね。
私は今回ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』でこのPBAという病気を知りました。私と同じように映画を観るまで知らなかったという方もいたのではないでしょうか。
実際にこの症状に苦しめられている人はいるわけです。
もし日々の生活の中でそれらしき人を見かけても冷たい視線を送るのではなくまず「あの人はもしかしたらあの病気なのかもしれない」と思うことが大切なのではないかと思います。
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