身寄りもなく引き取り手もいないご遺体に寄り添い身内に代わっておみおくりするという仕事を天職とする主人公の物語。
2013年に公開されたエディ・マーサン主演の映画『おみおくりの作法』をご紹介します。
『おみおくりの作法』(2013)の原題 上映時間は？キャストは？
『おみおくりの作法』
原題『STILL LIFE』
監督 脚本 制作 ウベルト・パゾリーニ
制作 フェリックス・ヴォッセン
クリストファー・サイモン
上映時間 91分
普通の映画と比べてかなり短い上映時間だったんですね。それでもちっとも物足りなさを感じませんでした。
キャスト
エディ・マーサン・・ジョン・メイ
ジョアンヌ・フロガット・・ケリー・ストーク(ビリー・ストークの娘)
カレン・ドルーリー・・メアリー(ビリー・ストークの元恋人)
アンドリュー・バカン・・プラチェット氏(ジョンの上司)
キアラン・マッキンタイ・・ジャンボ(ビリー・ストークがいた部隊の仲間)
ニール・ディスーザ・・シャクティ(ビリー・ストークが働いていた工場の同僚)
映画『おみおくりの作法』あらすじ
イギリス ロンドン南部のケニントン地区にある民生係で働いているジョン・メイはこの地区で孤独死した人達の身寄りを探す仕事をしていました。
彼の仕事ぶりといえば故人の家族と連絡が取れない場合、まるで探偵か刑事のように故人の家で見つけた所持品などから宗教や好きな曲をなどを推測します。
それをもとに葬儀のスタイルを故人ごとに変えるという徹底ぶりでした。
ある日、仕事場に孤独死をした遺体の発見の知らせがあり住所を聞くとジョンと同じアパートの向かいの部屋に住むビリー・ストークという男でした。
彼の部屋からは娘らしき写真がいくつも貼ってあるアルバムが見つかります。
後日、いつものように仕事をしていると会社の上司のプラチェットからジョンの部署はダリッジ地区と合併した。新規の案件はそちらで扱うことになったから君は解雇だとあっさり言われてしまいます。
そもそもジョンのやり方はお金も時間もかけすぎている、というのがクビの本当の理由でした。
ビリー・ストークの件が最後の仕事になったジョンは彼のことを徹底的に調べてゆかりのある人を見つけ出す決意をします。そして彼の娘、仕事場の同僚、元恋人、同じ部隊にいた仲間やホームレスの友人を探し当て葬儀に参列しくれるようお願いするのでした。
映画『おみおくりの作法』感想
そもそも主人公のジョン・メイは孤独死した人達になぜここまでしてあげていたのでしょうか？
最初わたしはてっきりこの職場のやり方なんだろうと思って観ていましたが、彼のクビになった理由でもわかるように誰もこのようにやれとは言ってないですよね。ジョンが好きで、というかこうすることが故人のためであり、当たり前のことだったんでしょう。
そして彼自身も独身で一緒に呑む友人もおらず常に1人。そのことから故人達を自分自身と重ねていたように思えました。
日本でも孤独死や遺灰の引き取り手がいなくて無縁仏となってしまうケースは多く問題になっていますよね。
わたしも40代で独身なので他人事ではありませんが。
元気な時は1人は気楽でいいとか思いますが、時には楽しそうに歩いている親子や友達同士ではしゃいでいる人達を見ると羨ましく思うし、もし自分が病気になったり、ましてや死ぬ時なんかはやっぱり誰かにそばにいてほしいと思うのが人間というもの。
でもそれがもし叶わなかった時、ジョン・メイのような人が見送ってくれたら少しは安らげるのかもしれないですね。
現代ならではの社会問題とも言える孤独死を題材にしていながら、なぜか心が軽くなるような、救われるような気持ちにさせてくれる映画でした。
ほとんど表情を変えないのにこんなにも無念さ、怒り、さみしさ、喜びを観てる側に伝えることができるエディ・マーサンの演技にも注目してもらいたいです。
原題『STILL FIFE』の意味とは？
still life の意味は「静物」「静物画」という意味。
静物 ①じっと動かないもの。②静物画
出典: 小学館 新選国語辞典
とあります。映画の中で時々出てくるまるで静物画のように映し出される、毎日食べている魚の缶詰とトーストや焦がしてしまった魚、頼むつもりのなかったココアなど、ジョン・メイの毎日の静かに過ぎていく人生の一コマ一コマのことかなとか考えましたが、もう動くことのない死者達のことを指しているのかなと私の中で結論付けました。
これを踏まえて日本語で辞典を開くと「静物」(＝死者)
の隣に真逆の意味である「生物」があるのもなんかおもしろいですね。
主演を演じたエディ・マーサンの記事はこちら↓
コメント
[…] […]