1994年に公開され、今なお不朽の感想作として多くの人々に愛され、希望を与え続けている映画
『ショーシャンクの空に』
日本でも未だに人気No.1の映画として君臨し続けています。
しかし、そんな大ヒット作と言われる『ショーシャンクの空に』ですが、アカデミー賞7部門にノミネートされながらも受賞は1つもなし。
しかも公開当初に映画館に訪れたお客さんは今では考えられないほど少なかったことを皆さんはご存知でしたか?
『ショーシャンクの空に』の予算は2800万ドル。そしてアメリカ国内での収益はなんと、、2800万ドルでした。
しかし、その後口コミで人気が広がり、翌年にはレンタルビデオ貸し出し1位を記録するほどの人気作になりました。
そんな遅咲き映画『ショーシャンクの空に』には他にも山ほど裏話や逸話があったので今回は
◎『ショーシャンクの空に』が実話なのか。
◎『ショーシャンクの空に』の知られざる裏話や撮影秘話
◎『ショーシャンクの空に』の原作や脚本との違い
◎『ショーシャンクの空に』のラストに登場する「アレン・グリーンを偲んで」の意味やラストのロケ地
についてご紹介しようと思います。
- 『ショーシャンクの空に』は実話?モデルとなった事件が存在した!?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん!監督の出演シーンや2つミス、モーガンの苦労話も!映画製作はこんなに大変だった!
- 『ショーシャンクの空に裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 初期のCGが使われているシーンがあった!?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ダラボン監督の手が登場してる!?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 本物の看守も出演してた!?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 米国動物虐待防止協会からクレーム!?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! オマージュは感謝のしるし?
- 『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! モーガン・フリーマン、実はメチャクチャ苦労していた!?
『ショーシャンクの空に』は実話?モデルとなった事件が存在した!?
単刀直入に言いますと、
『ショーシャンクの空に』は実話ではありません。
このことは原作者のスティーヴン・キングも証言しているそうです。
しかし、影響を受けたのではないか?と思われる事件が存在します。
それはオハイオ出身のフランク・フレッシュウォータースという男が1957年に死亡事故をおこし有罪判決を受けその保護観察中に逃亡したというものです。
Real-life ‘Shawshank Redemption’ inmate Frank Freshwaters arrested 56yrs after his 1959 escape http://t.co/il6j8FpcY5 pic.twitter.com/w9aW2kRDyE
— SBS News (@SBSNews) May 6, 2015
その後この男は2015年にフロリダで逮捕されるまでの56年という長い年月逃げ続けました。
逮捕された時フランクはもう79歳のおじいちゃん。逆になんで今更捕まったのかが不思議なくらいです。
彼が服役する予定だったオハイオ州立少年院が別名マンスフィールド少年院とも呼ばれていたためにフランクはリアルアンディなどと呼ばれ話題になったわけです。
(マンスフィールド少年院は『ショーシャンクの空に』の撮影が行われた場所です。)
そういえば映画のアンディも汚名を晴らせたわけではなく、あくまで妻とその愛人を殺した殺人犯であり脱獄犯のままでしたからその後見つかって逮捕なんて運命になってるかもしれませんね。
レッドも仮釈放違反してたし・・。(笑)
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん!監督の出演シーンや2つミス、モーガンの苦労話も!映画製作はこんなに大変だった!
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! セットは実はほとんどが作られたものだった!
刑務所内のシーン
ショーシャンク刑務所の外観だけでなく内装も映画の見どころになってますよね。
堅牢で冷たい閉ざされた寂しい雰囲気が伝わってきます。
どっかの刑務所を借りて撮影したんだろうなと思ってましたが、そんな簡単な話ではありませんでした。
撮影に使われた刑務所はオハイオ州のマンスフィールドという町にある元オハイオ州立教護院。
100年間も使われてきたこの建物は撮影時すでに壁の解体が始まろうとしていました。
しかし、ダラボン監督がここで撮影したいから、解体を待ってほしいと関係者に頼んでいます。
撮影が始まる数年前から刑務所は使われておらず、壁の塗装が剥がれ紙吹雪の機会が爆発したようだったそうです。ただ
アンディたちが入っていた独房は実は刑務所とは関係ない建物で刑務所から少し離れたただの倉庫でした。
天井が高いので美術のテレンス・マシューとスタッフたちが4階建ての独房棟に変身させました。
独房は250ほどもあったそうでその一つ一つを様々な素材を使い、鉄格子や壁の塗装、空圧装置が付けられた一斉に開けることができる200ものドアなど何から何まですべて彼らが最初から作っています。
あまりに自然に作られていたのでこの話を知った時、驚きました。
そもそも独房棟ですらなかったなんて・・。
ノートン所長の部屋や、
アンディがレコードをかけた部屋、その正面にある階段、
改装前の図書館、と改装後の図書館、食堂
なども荒れ放題だったのを作中のように生まれ変わらせました。
そしてリタ・ヘイワースが出てくる映画館。あれもじつはもともと礼拝堂でした。
ちなみに現在はこの刑務所は本館と独房棟以外は新しい刑務所を拡張して別館を建てるために取り壊されたそうです。
石垣も作り物!?
レッドが仮釈放になりアンディとの約束だったバクストンの牧草地を訪れます。
大きな樫の木に積まれた石垣に沿ってレッドは歩いていますが、この石垣も美術スタッフが石を運んで作ったものだそうです。
このエピソードが私は一番驚いたかもしれません 。
「ああ、こんなとこがあるんだなぁ。きれいだなぁ。」と普通に思っていたので。
こうしてみると撮影が始まるまでにも相当な時間がかかったのが想像できますよね。
あまりに自然に作られていたせいか、美術に関してあまり評価を受けなかったことを監督は悔しがっていました。
ウィキペディアを調べましたがテレンス・マシューの名前すら載ってませんでした。
『ショーシャンクの空に裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 初期のCGが使われているシーンがあった!?
プレート工場の屋根のタール塗りをしているシーンで、ハドレ―刑務主任がアンディの胸倉を掴んで屋根から落とそうとするシーンがありましたよね。
彼らがどれだけ高い位置に立っているか、そしてスタント使ってないことを示すためハイアングルから撮影されていますが実は、
ティム・ロビンスの胸元とクランシー・ブラウンの背中にはしっかりケーブルが付けられており、デジタル処理できれいに消されています。
予算も少なく、初期の技術だったため消去作業は大変だったそうです。
画像編集のやり方とかチンプンカンプンな私にはちょっとその大変さが理解できませんが、こんな短いシーンでも苦労してるんですね。
それでもこのアングルから撮りたいというこだわりが伝わってくるエピソードです。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ダラボン監督の手が登場してる!?
映画冒頭、アンディが妻と愛人を撃とうとダッシュボードから拳銃と弾を取り出すシーンの手はダラボン監督自身の手なんです。
撮影が終わった後で追加で撮ったもので、監督が自分でやった理由は「誰かに説明するより、自分でやる方が簡単だった。」とのこと。
ほかにもアンディが独房の壁に「A」「N」とハンマーで掘ってるときの手もそうです。
ちなみにそのすぐ後に映る足はティム・ロビンスの足です(笑)
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 本物の看守も出演してた!?
実は作中で本物の看守も登場していました。
一人は一番最初に「消灯!」と叫ぶ看守役。実際のオハイオ州立刑務所の看守だそうです。
二人目はトミーがショーシャンクに向かうバスに乗ってる時、トミーの後ろに座ってる黒人の囚人役。
彼の場合、監督が出演を依頼すると「囚人役がいい。」と自ら囚人役をおねがいしたそうです。
そして三人目はアンディ脱獄後に最初にアンディが牢から出てこないことに気付いた看守。
この方が三人のなかで一番セリフが長かったですが、演技が自然でほんとの役者さんみたいでした。
この歴史に残る名作に出演できた方々はとても幸運ですよね。生涯『ショーシャンクの空に』に出演してるんだ。とずっと自慢しつづけられますもん。羨ましいです。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 米国動物虐待防止協会からクレーム!?
この作品の撮影中、米国動物虐待防止協会の人が立ち会っていました。
監督はてっきりカラスのヒナを虐待しないように監督するのかと思っていました。
しかし、
協会はなんとカラスのヒナに生きた幼虫を与えてはいけないと言ってきたそうです。
この幼虫はハチミツガの幼虫で釣りのエサとして売られていたもの。
監督は
「この幼虫は誰もが入れる釣りエサの店から買った。釣りをするために虫を買った人は虫を釣り針に刺して魚に食わせるために川に投げ込む。それなのに多額の金を投じてる映画関係者にはヒナに幼虫を与えるのを禁じるのか。一般の人に許されている権利を映画関係者にだけ認めないのはおかしい。」
と抗議したそうです。これはだれでも監督の意見に賛成かと思います。
その辺を這っていた幼虫を使ってたならまだしも魚のエサとして売られている幼虫の使用を禁じるのはさすがにやりすぎですよね。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! オマージュは感謝のしるし?
アンディが初めてレッドに話しかける広場のシーンで拡声装置から二人の看守を呼ぶ声が流れていることに気付きましたか?
「ラッセル看守とバーウェル看守、担当官の所へ来てください」
と言っているのですが、撮影後にこの声を収録して後から付け加えたんだそうです。
その理由は
「生活している日常の雰囲気を出したかったから。」
とのこと。
そしてこの名前を使った理由ですがラッセルとはチャック・ラッセル監督のこと。
チャック・ラッセル監督はダラボン監督を1981年の映画『ヘルナイト』のPA(製作助手)として雇った過去があり、それ以来ダラボン監督がラッセル監督の結婚式の付添人をするほどの親友で一緒に脚本も書く間柄です。
そんな友人に感謝の意を表そうと思いついたことでした。
そしてもう一人のバーウェル看守とは『ミラーズ・クロッシング』や『マルコヴィッチの穴』など多くの作品で音楽を担当した作曲家のカーター・バーウェル。
この二人のオマージュは
チャック・ラッセル監督と作曲家カーター・バーウェルに対する尊敬の意と感謝のしるし
なのです。
そしてアンディが所長の裏金処理で使った架空の名前。
原作ではピーター・スティーブンスでしたが、作中ではランドル・スティーブンスになっています。
ランドルという名前を使ったのは
スティーヴン・キングへのオマージュで『ザ・スタンド』の闇の男の名前、そして『暗黒の塔』シリーズにも登場することから
だとのこと。あと、
アンディが広場でズボンから砂を落とすのは『大脱走』のオマージュ
だそうです。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! モーガン・フリーマン、実はメチャクチャ苦労していた!?
実は過酷だったキャッチボールシーン
レッドが仲間とキャッチボールしながらアンディと話すシーン。決して長いシーンではありませんよね。しかし、
このシーンの撮影時間はなんと9時間!その間ずっとモーガン・フリーマンはキャッチボールをしていました。
翌日彼は腕に氷を当てて現れましたが監督に一言も不平をもらさなかったそうです。
監督はモーガン・フリーマンのプロとしての役者魂に心打たれたとか。
ナレーション、まさかの録り直し!?
この映画の核ともいうべきモーガン・フリーマンのナレーション。
録音はオハイオ州の小さなスタジオで行われました。
最初の出来上がりが素晴らしく完璧だったことからそのまま編集で使っていたのですが録音機がポンコツだったために雑音がはいってしまっていました。
そのせいでもう一度モーガン・フリーマンにナレーションを頼むことに。
ぶっつけ本番で録ったナレーションはたったの40分で録り終えたのに、撮影後に撮りなおした時はなんと3週間という長い時間がかかってしまっています。
質を保つために慎重になったためだそうです。
最初に録音したナレーションがたったの40分で録り終えていたことにも驚きですが、やり直しが3週間っていうのはちょっとかわいそうなモーガン・フリーマンですね。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! モーガン・フリーマンの息子が出演していた!?
『ショーシャンクの空に』には実はモーガン・フリーマンの息子のアルフォンソが出演しているのをご存知でしたか?
アンディがショーシャンク刑務所にやって来たとき「歓迎するぜ、新人ちゃん!」などと言って新人たちをからかう囚人役として出演していました。
ちなみに仮釈放審査を受けるときに一瞬映るレッドの若い時の写真もアルフォンソです。
ちなみのアルフォンソは映画『最高の人生の見つけ方』でもモーガン・フリーマンの息子ロジャー役で共演していましたね。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ティム・ロビンスの提案が採用されたシーンはココ!
トミーが殺された後、所長が懲罰房に入れられているアンディを脅すシーン。
脚本では所長室で行われる設定でしたが、
ティム・ロビンスが「ここはアンディがまさにどん底の状態だから地下牢のような悲惨な所で撮るべきだ。最悪な状況を強調するには体も弱っていたほうがいい。」と提案し採用されました。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ティム・ロビンスの代役が登場していた!?
『ショーシャンクの空に」で主演を務めたティム・ロビンスですが、じつは彼のシーンで代役が起用されているシーンがあることに気付かれましたか?
そのシーンとは、アンディが映画館でレッドにリタ・ヘイワースを手に入れてほしいとお願いし出てきたところでオネエのボグズにつかまり、映写室でボコボコにされてるシーン。
俯瞰から撮られているところは実はティムではなく、代役のティム・モーガという男性
だそうです。
手加減して殴っているらしいのですが、その夜彼の体には青アザができていたそうです。
ハリウッド映画の暴力シーンが目を背けたくなるほどリアルなのはこういった代役さんがほんとに殴られてくれているおかげなんですね。
ちなみにこの代役さん、アンディが脱獄後、川に残していった囚人服を持っている看守の役でも登場しています。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 馬のフンは作りものだった!?
ボグズにやられ、入院中のアンディのためにレッドたちが石を集めようと野外で土を耕すシーンでヘイウッドが石を掘り当てますが、馬のフンだったというオチのシーン。
この馬のフンは小道具がわざわざ作ったニセモノの馬のフンだそうです。
ウィリアム・サドラーの馬のフンだと分かって焦る演技がおもしろいですよね。
監督も
「笑わせてそれでいて自然な演技に感心する。ふざけているのではなく、面白い。彼はそれが出来る俳優だ。」
とウィリアム・サドラーを褒めていました。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ボグズが乗った救急車は故障していた!?
独房でハドレ―にボコボコにされたボグズが救急車で運ばれていくシーン。
この救急車、実は故障しており、走っているように映っているのは監督とスタッフが押しているんです。
ひと昔の時代の撮影となるとその時代のものを揃えるのは大変だったでしょうね。
建物は作ればいいかもしてませんが、この車のようにほんの数秒しか映らないシーンのために車を一から作る時間もなかったでしょうから。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 生き物たちとの共演
カラスと息ぴったり?
アンディがある日突然図書係に任命されブルックスのもとに行き、カラスのジェイクに「ジェイク、ブルックスは?」と聞くシーンがあります。
このカラスは合図をしたら飛び立つよう訓練されてはいましたが鳴かないようには訓練されていません。なので
アンディのセリフと鳴き声が被る心配がありましたが、ティム・ロビンスは見事にジェイクの鳴くタイミングを捉えています。しかも1テイクで。
監督が「すごいじゃないか!」と褒めるとティム・ロビンスは「カラスと気があったんだ。」と答えたそうです。
冗談で言ったにしてもサラッとこういう言葉を返せるティム・ロビンスかっこいいですよね。
なんかほんとに動物と会話とかできそうな気がします。
そういえば、2022年の5月20日に金曜ロードショウで20数年ぶりに『ショーシャンクの空に』が地上波放送されてましたが、残念ながらこのシーンはカットされちゃってました。
映画にカットしていいシーンなんてないはずなんですけどね。
ハトは借り物?
仮釈放になりブルックスが一人寂しく公園でハトにエサをあげているシーン。
ハト達はペットショップの女性が逃げないよう4ヵ月前から訓練してくれたハトちゃんたちだったそうなんですが、半数は逃げてしまいました。
その後ハトちゃんたちはどうしたんでしょうね。
バッタを逃がさないように
レッドが黒曜石の下からアンディの手紙を見つけ帰るときのシーン。
アルファルファの畑を歩いて帰る時、バッタがたくさん飛んでいましたね。
オハイオ州はこの頃バッタの季節でその様子をどうしても画面に入れたくなった
監督がスタッフにモーガン・フリーマンが歩く予定の道にいるバッタが逃げないよう「この辺だけは歩かないでくれ」とお願いしておいたそうです。
たしかにこのシーン、バッタが飛び回っていることで神秘的な雰囲気になってていいですよね。
ダラボン監督、さすがです。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ブルックスにも代役がいた!?
ブルックスが仮釈放後、不安に耐え兼ね部屋で首を吊るシーンがありましたが、
俳優のホイットモアを台に上がらせるのに不安があったため、監督は自分の運転手のミッキーに代役をさせています。
(ミッキーは若いのに白髪がたくさんあったので後ろ姿ではわからなかったそう)
首を吊っている後ろ姿のシーンもミッキーです。
監督曰く「70歳の人をつり下げたくなかった。」からだそうです。
監督の高齢者への気遣いが伺えますね。
しかもホイットモアはダラボン監督にとってあこがれの俳優ですからこれくらい配慮するのは分かる気がします。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 時代の変化を表現しているシーンはココ!
囚人服が変わってる!?
刑務所での長い月日が描かれているこの映画。その月日を表現するために白髪を生やしたり、メイクを施したりしていますが、囚人服も途中で変わっていることに気付きましたか?
最初の囚人服は縦縞のグレーのシャツでしたが、
途中から現代的な青のシャツに変わっています。
これは監督がなんとなく作ったものではなく、調査した結果
‟40年代と60年代の囚人服は違う”
とのことだそうです。
仮釈放委員に女性?
レッドの三回目の仮釈放シーン。
仮釈放委員会のメンバーに女性が一人加わり、女性たちの社会進出が進んできた時代を表しています。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! アインシュタインがあざ笑っている?
アンディが牢から消えたことに気付いたノートン所長とハドレ―刑務主任がアンディの部屋へやって来て名簿チェックをした看守を問いただすシーン。
そのうしろでは所長や看守をあざ笑っているかのようにアインシュタインが舌を出しています。
監督たちのちょっとした遊び心だそうです。
こういうの鋭い人なら勘づくんでしょうけど私は全然気にしてませんでした。
これを聞いてからこのシーンではちょっと吹き出しちゃうようになりました。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 雪はジャガイモ!?
この映画の中でワンシーンだけ雪が降ってるシーンがあるのを覚えていますか?
ほんの数秒ですが、顔を傷だらけにしたアンディがニット帽を被って雪の中を一人歩いています。
実はあの雪は本物ではなくジャガイモだそうです。
撮影中は実際に雪は降っていませんが、20年の歳月を描くのなら1シーンくらいは雪が必要だということで撮影されました。
大量のジャガイモのスライスを晴天の日に日陰で送風機で飛ばしながら撮影したそうです。
にしても見事ですね。ジャガイモを雪に見立てるとか初めて聞きました。ほんと雪にしか見えません。
寒さまで伝わってきましたよね。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! 実は2つのミスがあった!?
傷の位置が違う!
所長の罪が発覚し、警察が所長のもとに乗り込んできます。
そして所長は自らの顎に銃を当てて発砲し、自殺するわけですが、実は公開当初
顎に当てた拳銃の位置と撃った後の傷の位置にズレがあった
そうです。
当時は技術的に修正が不可能だったため10年経ってDVDの発売を機にようやく修正したとか。
こちらが修正前
拳銃を当てた場所よりちょっと右寄りになっちゃってます。
そしてこれが修正後
ちゃんと銃を当てたところと一致してます。
これはけっこうな違いがあったので10年後とはいえ修正できてよかったですね。
車の年代が合ってない!?
アンディが国境を赤いオープンカーで颯爽と走るシーンがありましたが、
アンディが乗っている車は本当は1965年型のマスタングのはずでした。しかし土壇場で借りれなくなり、代わりに1969年型のGTOを借りたそうです。しかし、運転しているのは1966年頃の設定なので車と時代が合っていません。
『ショーシャンクの空に』裏話や撮影秘話が盛りだくさん! ブリキの箱に描かれていた絵の意味は?
レッドがバクストンの牧草地の樫の木の根元から見つけたアンディの手紙がはいったブリキの箱。
その箱に描かれているこの船が何かご存知ですか?
見えにくいですが下の方に「Q .M. Queen Mary」と書かれています。
クイーン・メリー号はイギリスのサウサンプトンーフランスのシェルブールーニューヨークを行き来できるよう作られたイギリスの船です。
ニューヨーク行き、つまり自由への旅立ち・・。
「ここは本当に意図していた。」
と監督も言っています
ほんと一瞬しか映らないのがまたいいんですよね。
『ショーシャンクの空に』、原作との違いは?
原作とタイトルが違うのはなぜ?
原題は『刑務所のリタ・ヘイワース』ですが、リタ・ヘイワースをタイトルに入れなかったのは
「リタ・ヘイワースの伝記」だと誤解を招いたから。
だそうです。
実際彼女を演じたいと経歴書が送られてきて、その中には女装が趣味の長身の人もいたとか。
他にもその当時女優へ転身しようとしていたスーパーモデルの事務所からも連絡があり最高の脚本だと褒められたんだそうです。
確かに誤解されかねないタイトルかもしれませんが、もし伝記映画だとしたらリタ・ヘイワースが刑務所に入ってることになっちゃいませんかね?
ブルックスは存在しない?
実は原作ではブルックスという囚人は存在せず、レッドが回想する「外の世界に適応できずに死んだ老囚人」という形でしかでてきていません。
ダラボン監督は『ショーシャンクの空に』でこの話をふくらませブルックスの役を作りました。
映画ではこの人物が果たす役割を形にし、「外の世界に適応できない人」の思いを表す必要があると思ったそうです。
ブルックスは加害者ではありますが同時に刑務所の犠牲者のようにわたしは感じました。
レッドが頑張って生きたのに対し、その反対となる人物も回想ではなくちゃんと描く必要があったんだと思います。
映画館で上映されたのは違う映画だった!?
アンディがレッドにリタ・ヘイワースを注文する映画館でのシーン。
上映されているのはリタ・ヘイワース主演映画『ギルダ』ですが、原作ではリタ・ヘイワースは出演していない『失われた週末』という映画が上映されていました。
原題が『刑務所のリタ・ヘイワース』だからここでリタ・ヘイワースを登場させてポスターにつなげてる、かと思いきや
製作のニキ・マービンが「他社の作品は使用料を取られるから同じ会社の作品にしては」、と提案したために『ギルダ』になったんだそうです。
現実的な理由で変更されてたんですね・・。
しかし、それが逆に映画を面白い方向に向かわせることができたわけです。
ほんと原作はなぜこうしなかったんだろうって思ってしまうくらい映画のあらすじの方が自然な流れですよね。
「フィガロの結婚」を流すシーンは原作にはない!?
アンディがオペラ「フィガロの結婚」を流すシーン。
この場面が一番好きだという方もいるんじゃないでしょうか。
実はこのシーンは原作にはありません。
これは創作の過程で生まれたもので脚本を書いている間、監督はオペラに夢中になり何曲ものオペラを聴いていました。(音楽を聴くと創作意欲がわき、いい発想が浮かぶんだとか。)そして
本作を書いているときに聴いていたのが「フィガロの結婚」。
この曲を聴いて心が高揚するのを感じ、この時の喜びから生まれたのがこのシーン
だったんだそうです。
監督はこの時のことをこう話します。
「音楽によって気持ちが高まり、涙までこぼれ落ちた。それがきっかけとなったんだ。音楽を聴いた僕自身の感動的な体験に基づいて作品にもこの喜びを表したかった。」
まさにダラボン監督の習慣が生み出した奇跡のシーンなんですね。
トミーは生きている!?
アンディの無実を証言できたトミーはノートン所長に殺されていますが、実は原作ではトミーは死んでいません。
原作ではトミーは真犯人エルモのことを黙っていることを条件に所長の指示で別の刑務所に移されていて殺されてはいません。
しかし、監督は所長を憎むべき悪人に仕立てる絶好の機会とふんでトミーを移送する代わりに殺してしまう設定にしました。
たしかに原作通りだったら、ノートン所長にも少しは情がある風に映ってしまいます。
それすらとことん排除され完全な悪魔にしてるからこそラストのどんでん返しに思いっきりスッキリ出来るんですよね。
ラストのロケ地はメキシコじゃない!?
誰もが感動したラストはレッドがメキシコ湾に向かうという設定ですが、
ラストに映された美しい青い海は実際はアメリカ領バージン諸島のセント・クロイ島という場所です。
バージン諸島セント・クロイ島はココ↓
この場所にした理由はメキシコに行く手間を省くためと、真っ青な海を求めたからだそうです。
確かにレッドの語りで「太平洋が夢で見たのと同じように青いといい・・。」と言ってるに茶色く濁ってたらズッコケちゃいますよね。
実際メキシコ湾がどんなもんか知りませんが。
「アレン・グリーンを偲んで」の意味とは?
ラストのあの感動的なシーンが流れると同時に
「IN MEMORY OF ALLEN GREEN (アレン・グリーンを偲んで)」
という文字が現れます。
この一文がなんのことなのか疑問に思った方も多かったのではないでしょうか。
アレン・グリーンとはフランク・ダラボン監督の最初のエージェントでまだ名もないダラボン監督にチャンスをくれた人物。
エージェントとは本人に代わって取引や契約など法律行為を為す者のことで、日本で言う代理人のこと。
当時低予算の映画の装飾を担当しながら脚本家を目指していたダラボン監督。
そんな彼をアレーン・グリーン氏は信頼して仕事を探してくれました。
「今日の僕があるのは彼のおかげ。僕を育ててくれた人というだけでなく、彼を知る者にとってかけがえのない人だと伝えたかった。」
と監督は言っています。
アレン・グリーン氏は『ショーシャンクの空に』を撮り始める直前にエイズでこの世を去っています。
このエピソードを聞くとダラボン監督のこの作品への深い想いがより一層伝わってくるようですね。
いかがだったでしょうか。
とにかく映画製作の大変さと監督やスタッフのこだわりがすごいことに驚きました。
モーガン・フリーマンの役者魂にも。
本当にすばらしい映画って製作過程の大変さを決して感じさせないんですよね。
こちらが気付かないような、「えっ!そんなとこにも!?」っていう細部にもこだわって作られているんですね!
それが演技であっても、セットであっても。
『ショーシャンクの空に』が時間をかけて理解されるようになったのはそのせいなのかもしれないですね。
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