『フィールド・オブ・ドリームス』ラストシーンの意味を解説と考察!撮影秘話もご紹介!

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映画『フィールド・オブ・ドリームス』ワンシーンより引用

とうもろこし畑をつぶして作った野球場を舞台に謎の声に導かれた主人公が亡き父への想いを胸に旅をする物語。

『フィールド・オブ・ドリームス』

日本のみならず世界中の人々の心を温かくしてくれた名作の一つです。

今回はこの『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンの意味を解説、考察していきたいと思います!

『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンが意味するものとは?

『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンと言えば夕暮れの中、レイが造った野球場に向かって列をなす多くの車のヘッドライトがとても印象的で美しい光景でしたよね。

映画『フィールド・オブ・ドリームス』ワンシーンより引用

私自身何の疑問も持たずただただこのラストシーンにめちゃくちゃ心を打たれ忘れられない名シーンの一つとなっていたわけなんですが見た人によっては

この集まってくる人々はどんな人たちなのか?

球場にやってきた人々はその後はどうなるのか?

など素朴な疑問を持たれた方もいたようです。

中には

この車の列の意味さえ「?」となった人もいたとか。

『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンを解説、考察する上でまず念頭に入れておいてほしいのはこの映画が

主人公レイの願いが叶う様子をファンタジックに感動的に描いた夢物語

だということ。

こちらの記事でも書きましたので良かったらどうぞ⤵︎

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なのでこの車のライトの人々はどうやって同じ日、同じ場所、同じ時間に集まれたのか。

そんな疑問を抱くのは野暮ってもんです。

何かに導かれてやって来た、程度に思ってもらえたら良いかと思います。




集まってきたのは昔を懐かしむ人々

引用元:Pinterest.jp

この映画の主人公であるレイ・キンセラは別に特別な人間ではありません。

普通の両親の元に生まれ、普通に大学を出て結婚し、子供に恵まれ、農場を営む普通の人間です。

ただ父親と確執を残したまま死に別れたことを心のどこかで後悔したまま生きてきました。

車のライトの列はきっとそんなレイと似たような境遇を持った人々が世の中に溢れていることを表しているんじゃないでしょうか。

過去に後悔も、未来に憂いも持たず、ただただ何かに夢中だった子供時代にもう一度戻りたい。

あそこに行けばきっとその「あの頃」に戻れる。

そんな心の声を信じ従った人々が光の線となりラストシーンを飾っていたわけです。

レイの娘カリンもこんな風に予言してました。

「みんな試合を見にここへやってく来る。ずっと昔子供だった頃見たように。みんな子供に戻れちゃう。大勢来るわ。」

そしてテレンス・マンも

「みんながここに失った安らぎを買いにやってくる。本能に導かれるように。」

と話していました。

過去を振り返ったり懐かしむというのは人間特有の習性というかまさに本能みたいなものです。

色々ルールの改訂はあったりしますがこの映画では

昔からほとんど変わらない野球というスポーツが懐かしいあの頃に戻してくれるメタファー

となっているのです。

この車の人々はこのあとどうなるのか

引用元:Pinterest.jp

レイの野球場に集まってきた人々はこのあとちゃんと選手たちを見ることができたのか・・。

きっと見ることができたはずです。

だからこそこの地に引き寄せられたのでしょうから。

ただ先にも言った通りこの映画はレイの夢物語でありレイの願望が叶う様子をファンタジックに感動的に描いたもの。

ここを訪れた人々が選手たちを見ることができたかどうかよりも懐かしい過去に戻れたことで

レイが家族を見て「ここがそう(天国)なのかもしれない。」と言ったみたいに今そばにあるある小さな幸せにも気づくことができた。

そんな風に感じられればいいんじゃないでしょうか。




このラストシーンはなぜ必要だったのか

この映画は主人公のレイが謎の声に従い、亡くなった父親と和解するという願いを叶えることができたという話です。

ついでに言えば最後にはその父親をファンだったヤンキースの選手としてプレーさせることもできました。

(父親のジョンはレッドソックスの選手だったのにラストではヤンキースのユニフォームを着てました。)

引用元:ebay.com

少年時代に出来なかったキャッチボールをしてめでたしめでたし・・感動的で全然いい終わり方だった思います。

しかしこれでは肝心の「球場と農場、維持できるか問題」が未解決のままです。

この映画が多くの人に受け入れられた理由は実在の人物を登場させていることなどファンタジー要素の中にリアルな部分も多く取り入れているところにあると思います。

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とうもろこし畑の面積が減れば収入が減るのは当然。

物語はいつもそのリアルな問題に直面していました。

その問題を最終的に「訪れた人々の入場料」
と言う形で解決しようとするわけですが

カリンとテレンスの予言だけではその後本当に人々が来たか分かりません。

入場料を払ってくれる人々がちゃんと訪れたと言うことを証明するためにあのラストのシーンは絶対に必要だったのです。

これがなければ本当にただのファンタジー映画になってしまっていたでしょう。

ただ、やってきた人々が選手たちやレイとご対面すると言う形ではなく車のライトの列という美しい景色で表現したところがめちゃくちゃセンスいいなぁと思いましたね。




『フィールド・オブ・ドリームス』ラストシーンの撮影秘話

監督のフィル・アンデル・ロビンソンはロケ地の商工会議所の人たちに他に要望はないかとを聞かれると

「キャッチボールをする親子の背景に車の列を見せたい」

と心の中で温めていたアイディアを口にしたそうです。

そのアイディアは即座に快諾され実行されることになりました。

まずは最初にヘリで農場上空を飛び全域の航空写真を撮影。

その写真に監督が欲しい車の列の形をペンで書き込みクルーがそのルートを運転して距離を測ります。

そして車の長さと隙間を足した数字で割り算するとおよそ1500台の車が必要と分かりました。

これだけの車を準備するのは容易ではありません。

参加してくれる人たちを募るために宣伝活動を行い記念としてTシャツを用意し特典豊富なイベントを催して人々を球場へ集めました。

まぁ、ケヴィン・コスナー主演の映画となればきっとあっという間に集まったでしょうけどね。

ただこれだけの人にどうやって指示を出していたかというと

FM放送で流すという方法で指示をとっていました。

実際このラストシーンを見てみると車のライトが最後の方までキラキラと光っていてとても美しく見えます。

私はてっきり距離が遠いから偶然こんな風に映っているのかと思っていました。

しかしこれは偶然撮れたものではありません。

ただ車のライトの列を撮っただけでは最後尾の方の車のライトが重なって光の線にしか見えなかったそうです。

それを監督が点で見えるよう運転手にライトを点滅さするよう指示したことで実現した映像でした。

監督曰く

「3分半の映像を撮るために精力を傾けたが見事に実を結んだ。もう撮り直しはできなかったシーンだけに映画の神様が助けてくれたと感謝した。」

と納得がいくラストシーンが撮れたことを心から喜んでいました。

本当にいい映画ってほんの短いシーンでも人手とお金と時間を惜しまずに作り上げていることがわかりますね。

今ならCGで簡単にできてしまいそうなものですが本物で作っているからこそ心のそこからこのシーンに感動できたんだと私は思います。




『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンをオマージュしてる映画があった!?

『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンを美しく飾ったどこまでも伸びるあの車のライトの列。

実はあのラストシーンをオマージュしたかと思われる映画がありました。

映画をよく見る方ならピンときたかもしれません。

その映画というのがハーレイ・ジョエル・オスメント主演の映画

『ペイ・フォワード 可能の王国』

引用元:Pinterest.jp

ネタバレしています。映画を観ていない方はご注意ください!

あらすじ:
シングルマザーでアル中の母を持つ11歳のトレバー。新しく赴任してきた担任のユージーンが出した「世界を変える方法」と言う課題に「人から施しを受けたらそれを別の3人の人間に返す」と言うアイディアを思いつき実行に移そうとする。

トレヴァーは自分自身がなかなかこの課題を成功させられず苦しい思いをしていました。

そして結局ラストはいじめられっ子を庇い非行少年のナイフに刺され亡くなってしまいます。

母アーリーンとその恋人になっていた担任のユージーンが悲しみに暮れていると窓の外にはトレヴァーの死を悼むロウソクを持った多くの人々とそこに向かって来る車のライトが列をなしていました。

このシーンを見た時『フィールド・オブ・ドリームス』のラストシーンみたい!と思いました。ただ

『ペイ・フォワード 可能の王国』のラストシーンはトレヴァーの家を訪れた人々の持つロウソクの明かりと奥に広がる街の明かりも映し出されていてその間を走る車のライトの列はあまり目立ってはいません。

映画『ペイ・フォワード 可能の王国』ワンシーンより引用

この映画の場合、トレヴァーのアイデアと行動に心を打たれ影響を受けた人々が遠く離れた街にまで広がっていたことを表現するための道標として車のライトの列が使われていたんだと思います。

『フィールド・オブ・ドリームス』の安らぎを求める人々と『ペイ・フォワード 可能の王国』の少年の死を悼む人々、

似ているラストシーンではあるものの全く違ったシチュエーションなだけに受ける印象も違います。

オマージュというのはちょっと違ったかもしれませんでしたが初めて見た時「このラストシーンは!」と感動してしまったので紹介させていただきました。

 

いかがだったでしょうか。

『フィールド・オブ・ドリームス』の感動的なラストシーンについて考察、解説させてもらいました!

懐かしい過去があるからこそ辛い日々も乗り越えていけるし未来に希望を持つ事もできる、私はこのラストシーンにそんなメッセージを感じました。

ただ一つ言えるのは主人公レイのように両親と死に別れてから和解するというのは不可能です。

両親に限ったことではありませんがもし仲直りしたいと思う人がいるのなら手遅れになる前に自分から歩み寄る勇気を持つことが大切、ということも教えられた気がします。



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